kさん(卒業生 両眼視力 矯正0.04)
盲学校を卒業し、現在は、訪問マッサージの仕事をしています。利用者さんの中には、様々な病気を抱えている方も多く、在学中に学んだ『現代医学』も役立っています。また、在学中に学んだ基礎知識があったからこそ、今、仕事関係のことを自分で書物やインターネットで調べた時に、内容が理解でき、自身で納得できると思います。
盲学校入学前は、酒の卸しの仕事をしていました。現場を任されてもおり、同僚にもめぐまれ、後輩からも頼られ、充実感の中で働いていました。網膜色素変性症のため急激に視力が低下し、離職しました。就職活動をしましたが、「目が見えない人はちょっと・・・」と言われ、自分の存在価値とは何なのか、みじめな思いをしました。家にポツンと一人、孤独でした。
網膜色素変性症の会に参加し、たまたま盲学校のことを知りました。「みじめな思いから脱却したい。でも国家試験なんて合格できるのか。」悩みましたが、とにかく、現状から脱却したいと思い、相談をして、盲学校を見学に行きました。
今の自分では、以前の職場で信頼してくれた後輩やお客さんたちに胸を張れない、無理かどうかはやってみないとわからない、やらないと後悔すると思い、盲学校への入学を決意しました。
資格を取り、現在の仕事に就いて、人生が変わったと思います。また、仕事の仲間ができました。ときには仲間たちと競い合い、ときには仲間たちと支え合い、積極的に仕事に取り組むことで自分の居場所を取り戻すことができたように思います。利用者さんとの会話の中で、「先生が来るのを楽しみにしている」と言われるたびに、努力が報われてきていることを感じます。
振り返ると、私は目が見えなくなったことに対してではなく、社会から必要とされなくなってしまったことや自分の居場所を失ってしまったことに対して情けなさや惨めさを感じていたのだと思います。盲学校との出会いにより、自分を待ってくれている人がいる。自分を必要としてくれる人たちがいる。という思いに充実感を感じながら毎日を過ごすことができております。
今お悩みの皆さんへ。あなたは、どんな未来を歩んでいきたいと考えていますか?あなたが、本当に手に入れたいものを考えてみてはいかがでしょうか。反省は取り返すことができても、後悔は取り返すことができません。与えられた第二の人生を、後悔しないよう歩んでいきたいですね。